コロナ禍でも通販・キャッシュレスは増えていない?
コロナ禍により通販市場が伸びたとかお買い物でのキャッシュレス化が一気に進んだ、という記事をたくさん目にしますが、実はそうではない、という記事を野口 悠紀雄氏が東洋経済に書いています。
この記事によると、統計を見る限り通販比率は上がっていないし、キャッシュレス決済の比率はむしろ下がっている、その原因は、通販事業者の増える需要に対応できていない「準備不足」と、QRコード方式の不便さ、手数料の高さにある、というのがその主張です。
確かに記載されている統計の数字を見ると、通販での消費金額は増えていない(家計消費状況調査)し、電子マネーの決済件数は前年比では落ちている(日銀決済調査)。
なのに、新聞やテレビでは通販に消費行動がシフト、電子マネーがコロナで一挙に普及、と報じているの?もしかして政府の願望を感覚的に報じているだけ? と思ってしまいますが・・・
統計数字は一部の局面だけを表していて全体を現していない、ということがこの記事から読み取るべき真意ではないかと思います。統計には、必ずバイアスがかけられているということです。
だから、その統計から導き出される結論(この記事の場合は「原因」です)も、あくまでも「推論」であり、事実でない「かも」しれない。統計をどう利用するのかは、受け取り側の「スタンス」や「時流の読み」で変化するのが当たり前で前提となるべき事実と捉えるべきではない。
AI時代では数字がますます重視されていきますが、それをプログラミングしたマーケターの「心理的なバイアス」が常に含まれている可能性がある。そんな当たり前を忘れないように注意したいと思う記事でした。